業務内容紹介

相続関連の知識

遺言による相続登記

遺産分割による相続登記

法定相続分による相続登記

相続財産の調査方法

相続人の調査方法

遺産分割の方法

遺産分割協議書の作成のポイント

相続の種類 (単純承認、限定承認、相続放棄)

相続欠格

相続廃除

特別受益者

寄与分

遺留分

特別縁故者に対する財産分与

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遺言による相続登記


 被相続人が遺言をしている場合には、遺産分割協議や法定相続よりも優先する為、まずは遺言の存在の有無を確認しておきましょう。被相続人が遺言をしている場合は、相続人のうちで遺言の存在を知っている人がいる場合が多いですから、他の相続人に確認してみるとよいでしょう。
 公正証書遺言の場合であれば、公証人役場に遺言書の原本が保管されていますので、公証人役場に確認しましょう。自筆証書遺言などの遺言書の場合には家の中だけではなく、知り合いの弁護士や司法書士、銀行の貸金庫等に預けているケースもあります。
 公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合には、勝手に開封せず家庭裁判所に検認の申立ての手続きを取る必要があります。もし、遺言書を提出せず、または家庭裁判所外で遺言書を開封した場合、検認手続きを怠ったとして5万円以下の過料に処せられる場合がありますので注意が必要です。
 遺言に基づく相続登記をする場合には、必要書類はその不動産を相続する方以外の相続人は戸籍謄本や住民票の写しは不要になります。

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遺産分割による相続登記



 遺産分割とは、共同相続の場合に、一応相続人の共有になっている遺産を相続分に応じて分割して、各相続人の財産にすることをいい、下記の3つの種類があります。

 遺産分割の種類
  指定分割
:遺産分割は、第一に、被相続人の遺言による分割指定の方法があれば、それに従います。この場合には、遺言書に記載されている方が不動産を取得することになり、遺言書の内容に基づいて相続登記をすることになります。この場合の手続きは、上記(1)の遺言による相続登記によります。
  協議分割:遺言による指定がなければ、第二に、共同相続人の協議により分割内容が決定されます。
  調停・審判による分割:共同相続人間での協議が調わない時は、共同相続人は共同もしくは1人で、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。家庭裁判所はまず調停を勧めますが、調停不調の場合は、審判になります。

 一番多く用いられる遺産分割は協議分割(一般に「遺産分割協議」と呼ばれます。)で、実際、当事務所でも、上記3つの遺産分割のうち、遺産分割協議による相続登記のご依頼が一番多いです。
 遺産分割協議による相続登記とは、相続人全員で話し合いをして、相続人の1人ないし数人の名義に変更する方法をいいます。この協議書には相続人全員の実印による押印と、印鑑証明書の添付が必要となります。
 遺産分割協議をするには、遺産の範囲と相続人の範囲を確定することが必要となります。

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法定相続分による相続登記



 亡くなった方に遺言書もなく、相続人間で遺産分割協議もなされなかった場合、法定相続分(民法に規定されている相続割合)どおりの相続登記をすることができます。この場合、不動産は相続人全員の法定相続分による共有名義となります。ただし、不動産を共有した場合、その不動産全体を売却するなどの処分をするのに、共有者全員の同意が必要となることに注意して下さい。

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被相続人の財産調査の方法


不動産の調査

 被相続人が不動産を所有している場合、権利証(登記済証)または登記識別情報があれば、被相続人名義の不動産はすぐに特定できます。念のために、権利証等の記載に基づき法務局で登記簿謄本を請求し、現在の権利関係を確認しましょう。
 しかし、未登記建物にはそもそも権利証または登記識別情報がありませんので、上記の方法で確認することはできません。この場合には、被相続人所有の不動産所在地(被相続人の住所地ではありません。)の市区町村の役所で固定資産税評価証明書や名寄帳を被相続人の全資産で取り寄せましょう。固定資産税評価証明書や名寄帳には未登記建物も記載されますので、これにより登記されていない被相続人名義の不動産を知ることができます。

預貯金等の調査

 被相続人が生前利用していた金融機関の通帳や送られてきた取引明細等があれば、どの金融機関に口座があるか知ることができます。そして、金融機関に被相続人の残高証明書を請求することで、被相続人の預貯金の金額について調べることが出来ます。証券等についても同様です。

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相続人の調査方法




 まず、誰が相続人になるのか、つまり相続人の範囲とその順位については、下記のように民法に規定されています。

   第1順位  被相続人の子と配偶者
        (相続分は、 子2分の1、  配偶者2分の1)
   第2順位  直系尊属(父母、祖父母)と配偶者
        (相続分は、直系尊属3分の1、配偶者3分の2)
   第3順位  兄弟姉妹と配偶者
        (相続分は、兄弟姉妹4分の1、配偶者4分の3)


※第2順位の相続人は第1順位の相続人がいない場合に初めて相続人になり、第3順位の相続人は、第1及び第2順位の相続人がいない場合に初めて相続人になります。

 民法に当てはめてみて、例えば配偶者と子どもが相続人となることが分かったとしても、その相続人の範囲が間違いないことを第三者(登記を申請をする法務局)に証明しなければなりません。この証明には戸籍を用います。つまり、被相続人が死亡した事項が記載されている現在の戸籍を取寄せ、そこから被相続人の出生の頃まで(大体12、13歳)遡って、除籍謄本、改製原戸籍を集めていきます。その過程で、婚姻外の子、以前の配偶者との間の子、養子に出した子等がいないかを調べます。相続人に漏れがあった場合には、遺産分割協議ができませんし(本来相続人である人を除いて分割協議をしても、その遺産分割協議書に基づき相続登記をすることはできません。)、金融機関で被相続人の遺産である預貯金を現金化することもできないので、しっかり調査する必要があります。

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遺産分割の方法


現物分割

 預貯金・有価証券は妻に、土地・建物は長男に、山林・農地は長男と次男が2分の1ずつの割合で共有に・・・といったように遺産そのものを現物で分ける方法です。
 現物分割は、分かりやすく手続きも簡単で、遺産をそのまま残せるというメリットがありますが、他方で、各相続人の相続分きっかりに分けることは難しいというデメリットがあります。
 そこで、現物分割では相続人間の取得格差が大きいときは、その分を金銭で支払うなどして調整(代償分割)します。

代償分割

 遺産である不動産の全てを長男が相続する代わりに、長男は次男に500万円支払う・・・というように、相続分以上の財産を取得する代償として他の相続人に金銭を支払う方法を代償分割といいます。これにより、遺産の不動産が複数の相続人名義となるような細分化を防ぐことができると同時に、遺産を公平に分けることができます。もっとも、金銭を支払う相続人に支払い能力がない場合には、この方法は難しいかもしれません。
 現物分割も代償分割も難しい場合、さらに換価分割という方法もあります。

換価分割

 遺産である土地を4000万円で売却してお金に代えた上で、妻が2000万円、長男と次男が1000万円ずつ取得する・・・というように、遺産を売却し、その代金を分配するという方法を換価分割といいます。現物を分割すると価値が下がる場合などはこの方法をとります。この場合は、遺産を公平に分割することができますが、現物を処分しなければならず、また、売却費用や譲渡所得税等を考慮する必要があるというデメリットがあります。

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遺産分割協議書の作成のポイント


遺産分割協議書の作成のポイントを、以下の遺産分割協議書の見本でご説明します。




遺産分割協議書(作成例)

  本籍  東京都○○市○○町○丁目○番○号         
  最後の住所  東京都□□市□□町□丁目□番□号
  被相続人  甲 野 太 郎 
  生年月日  昭和○○年○月○日

※文頭に被相続人を特定する事項を記載するのが一般的です。住所・氏名・生年月日等で故人を特定します。

 上記被相続人が平成○○年○月○日死亡したことにより発生した相続において,相続人全員において,次のとおり遺産分割の協議を行った。

※被相続人の死亡年月日についても正確に記載しましょう。

第1条 次の不動産については甲野次郎がこれを相続する。
 (土地)
   所   在  ○○市○町○丁目
   地   番  ○番○
   地   目  宅地
   地   積  300.00平方メートル
 (建物)
  所  在  ○○市○町○丁目○番地○
  家屋番号  ○番○
  種  類  居宅
  構  造  木造瓦葺2階建
  床 面 積  1階  75.30平方メートル
          2階  58.46平方メートル

※不動産の表記は、登記簿の記載に合わせると、登記申請をスムーズに行えます。

第2条 次の現金、預貯金、有価証券について、乙野花子がこれを相続する。
 (現金)   金3,000,000円
 (預貯金) 
        ○○銀行○支店 普通預金 口座番号○○○○○○ 5,000,000円
        ○○銀行○支店 定期預金 口座番号○○○○○○ 2,000,000円
 (株式)   
        ○○株式会社 普通株式  150株

※預貯金は銀行名や口座番号、残高をしっかりと記載しましょう。

第3条 甲野次郎は、第1条記載の不動産を取得する代償として、丙野三郎に平成○○年○月○日までに、金10,000,000円を支払う。

第4条 本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人乙野花子がこれを取得する。

※この遺産分割から漏れた遺産があっても、後日、別途遺産分割をすれば足りますが、予めこういった条項を入れておくとトラブルを予防できます。

第5条 先祖の祭祀を承継する者を甲の次郎とする。

※先祖のお墓を管理したりお寺とのつき合いを承継する者を定めます。

 以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を何通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

 平成○○年○月○日

住所  ○○市○町○丁目○番○号
氏名  甲  野  次  郎   実印 

住所  ○○市○町○丁目○番○号
氏名  乙  野  花  子   実印

住所  ○○市○町○丁目○番○号
氏名  丙  野  三  郎   実印

※相続人の全員の署名と実印による押印が必要となります。
氏名については記名方式でも登記上は問題ありませんが、後のトラブルを防止する意味でも相続人自らが署名されるべきです。
実印の印影が一部欠けたり、薄かったり、滲んでいる場合には登記申請が通らない場合がありますので注意が必要です。その場合には、その近くに、どの相続人の実印の印影かわかるようにして再度押印すると良いでしょう。

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相続の種類



 被相続人が死亡すると、被相続人の財産を相続することになるわけですが、この相続財産には、不動産、預貯金といったプラスの財産のみならず、住宅ローンやカードローン等のマイナスの財産も同じく相続することになります。
 被相続人の相続財産を調査した結果、プラスの財産の方が大きければ、そのまま相続したいと思うでしょうが、もし、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い、いわゆる債務超過のような場合には相続したくないと考えるでしょう。
 そこで、民法では、被相続人の財産状況に応じて、?単純承認、?限定承認、?相続放棄の3種類の相続の方法を選べるよう規定されています。

単純承認
 一般的な相続方法で、被相続人のプラスの財産・マイナスの財産の全ての財産を承継する相続方法を単純承認といいます。単純承認をする場合には特別な手続きは必要なく、相続人が相続開始があったことを知った日から3か月以内(特別に裁判所に認められた場合は3か月以降も可能)に限定承認または相続放棄の手続きをとらなければ、自動的に単純承認したものとみなされます。

限定承認
 相続人が、相続によって得たプラスの財産の限度においてだけ、被相続人のマイナスの財産を承継するという相続形態のことを限定承認といいます。どんなにマイナスの財産が大きくても、プラスの財産を超えて弁済する必要はありません。すなわち、相続人自らの財産を持出してまで弁済する必要がないということです。
 この方法は、マイナスの財産の金額が分かっていない場合等に有効な方法です。相続放棄との違いは、相続放棄を行うと何も相続できないのに対し、限定承認の場合、借金などを相続財産から返済し、財産が残っていれば相続できるところです。
 限定承認の申し立ては、原則として、相続開始があったことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。この3ヶ月の期間を過きてしまった場合や相続財産に手をつけてしまったりした場合には限定承認はできず、単純承認したとみなされますので、注意が必要です。また、限定承認するときは、相続放棄とは異なり、相続人全員でする必要があり、複数の相続人のうち一部の相続人だけが限定承認するということは認められません。

相続放棄
 自己の意思によって、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないというのが相続放棄です。したがって、資産だけは相続するが、負債は相続しないという選択はできません。
 このような相続の放棄は、通常、被相続人の財産状況が債務超過の場合に行われますが、他の相続人に財産を相続させたい時など、債務超過でなくても相続人の自由意思によって相続を放棄することがあります。相続放棄は、相続人が個人で相続するかしないか決めることができ、限定承認とは異なり、何人もいる相続人のうちの1人だけが相続放棄することも可能です。
 なお、相続開始前(生前)に相続放棄することはできませんので、相続開始前に推定相続人間で相続放棄に関する合意書などを結んだとしても無効です。
 相続放棄は、限定承認同様、原則として、相続開始があったことを知った日から原則として3カ月以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。この3ヶ月の期間を過きてしまった場合や、相続財産に手をつけてしまったりした場合には相続の放棄はできず、単純承認したとみなされます。また一度放棄をするとこれを取り消すことはできません。

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相続欠格


 
 相続を自分に有利なものとするために、詐欺や脅迫などの犯罪を犯したり、遺言書の偽造や隠匿をした場合であっても被相続人の遺産を相続できるいいうのは、一般法感情から妥当な結論とは言えないでしょう。そこで、一定の違法行為を行った場合には、相続人の資格を剥奪されることがあり、これを相続欠格といいます。

 相続欠格となるのは以下の事由に該当する場合です(民法第891条参照)。
1.被相続人や、自分より相続の順位が上位の相続人または同順位の相続人を故意に殺したり、殺そうとして刑に処せられた場合
2.被相続人が殺害されたことを知りながら、告発または告訴しなかった場合
3.詐欺や強迫によって、被相続人が相続に関する遺言を作成・取り消し・変更しようとするのを妨げた場合。
4.詐欺や強迫によって、被相続人に相続に関する遺言を作成・取り消し・変更させた場合。
5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合

 上記の事由のいずれかに該当することがあれば、他の相続人や受遺者などからの主張、あるいは裁判所での手続等を要することなく、自動的にその被相続人との関係で相続資格を失うことになります。法律上当然にその効果を生じますので、戸籍にも記載されません。欠格者は同時に受遺者(遺贈を受ける者)となることもできなくなります。もっとも、欠格の効果は、特定の被相続人と欠格者との間で発生するにすぎず、欠格者であっても他の者の相続人となることはできますし、欠格者の子は代襲相続人となれます。
 なお、上記1の欠格事由は故意犯が対象なので、過失による交通事故死はこれにあたりません。
 また、上記5の「遺言書を隠匿した場合」とは、例えば、他の相続人はその存在すら知らない封印のある遺言書を見つけ、一人でこっそり開封し見てみたら、自分には不利な内容の遺言であったため、自分に有利に遺産相続できるように他の相続人に発見されないようこれを隠した、というような場合があたり、この場合遺言書を隠匿した相続人は相続資格を失いますので注意して下さい。

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相続廃除



 被相続人の推定相続人(配偶者、子供、親等)において、相続人としてふさわしくない行為等があった場合で、被相続人が推定相続人に相続させることを望まないような場合に、被相続人の意思に基づき相続人の相続権を奪うことを相続廃除といいます。

 相続廃除となるのは以下の事由に該当する場合です(民法第892条参照)。
1.被相続人に対して虐待をした場合
2.被相続人に対して重大な侮辱を加えた場合
3.被相続人に上記1、2以外の著しい非行があった場合

 上記の事由のいずれかに該当することがあれば、被相続人は家庭裁判所に廃除の請求を申し立てることができます。この相続廃除の請求は、生前に被相続人自身で行うこともできますし、遺言により相続廃除の意思表示をすることもできます。遺言で廃除の意思が示されていた場合は、遺言の執行を託された遺言執行者が家庭裁判所に申し立てます。そして、家庭裁判所で廃除の審判が確定すると、相続人は相続権を失うことになります。もっとも、廃除の効果は、特定の被相続人と被廃除者との間で発生するにすぎず、被廃除者であっても他の者の相続人となることはできますし、被廃除者の子は代襲相続人となれます。また、被廃除者となっても受遺能力(遺贈を受ける能力)は失いません。
 また、廃除の審判が確定しても、被相続人はいつでも廃除の取消しを家庭裁判所に請求できます。

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特別受益者



 相続人の中に、被相続人から生前に、住宅の購入資金や結婚資金の贈与を受けたり、遺贈を受けたりした相続人がいる場合、これらの考慮しないで遺産分割しようとすると相続人間で不公平が生じてしまう場合があります。このように相続人が被相続人の生前に受けた贈与や遺言による贈与などを受けた人を特別受益者といい、その利益を特別受益といいます。特別受益者がいる場合、他の相続人との公平を図るため、民法では特別な分割方法を取っています。

 特別受益となるのは以下の事由に該当する場合です(民法第903条参照)。
1.相続人が被相続人から遺贈を受けた場合
2.相続人が被相続人から婚姻、養子縁組のため、または生計の資本として贈与を受けた場合

特別受益者がある場合の相続分の計算
 以下、簡単な事例で特別受益者がいる場合の具体的な相続分の計算方法を説明します。
特別受益具体例
 上記のように、被相続人である夫が相続財産3,000万円を残して死亡した場合で、夫は生前、長男に住宅の購入資金として400万円を贈与しており、長女には結婚資金として200万円贈与していた。さらに、次男には300万円遺贈する旨の遺言があった。この場合、各相続人の相続分はどのようになるでしょうか?

1.相続財産に特別受益を加えて、みなし相続財産を算出する(生前に受けた特定の経済的利益は遺産の前渡し分と考え、相続財産にその額を持ち戻して計算します。)
相続財産(3,000万円)+特別受益(400万円+200万円)=3,600万円
 (次男への遺贈300万円は相続財産3,000万円の中から負担されるものですので、特別受益として持ち戻し計算の対象とはなりません。)
2.みなし相続財産の額を分割する
・妻(配偶者)の相続分 3,600万円×1/2=1,800万円
・子どもの相続分    3,600万円×1/2×1/3=600万円
3.特別受益の額を差し引く
・長男の相続分 600万円−400万円(特別受益分)=200万円
・次男の相続分 600万円−300万円(特別受益分)=300万円
・長女の相続分 600万円−200万円(特別受益分)=400万円
4.各相続人の最終的な相続分
・妻の相続分  1,800万円
・長男の相続分   200万円
・次男の相続分   300万円
・長女の相続分   400万円
 
 特別受益の額が相続分の額に等しいとき(上記?の計算で、0となる場合)、またはこれを超えるときは(上記?の計算で、マイナスとなる場合)、特別受益者は相続分を受けることが出来ません。 特別受益が相続分をこえる場合でも、相続分を超えた額を他の相続人に返還する必要はありません。ただし、特別受益が他の相続人の遺留分を侵害する場合は遺留分減殺請求の対象となります。他の相続人から遺留分減殺請求を受けた特別受益者は、遺留分の額を支払うことになります。 特別受益者がいる場合でも、相続人の話し合いで特別受益を考慮せずに分割することは可能です。

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寄与分



 被相続人とほとんど交流のなかった人でも、被相続人のために尽力した人と法定相続分は同じです。しかし、被相続人の事業を助け財産の増加や維持に貢献した人や、長年にわたって被相続人の病気の看護に献身的に努めた人が、被相続人の生前に全く関わり合いがなかったような相続人と同じ相続分しか相続できないとしたら、不公平な結果となります。
 そこで、民法では、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人がいる場合に、相続人間の公平を図るため、その者の法定相続分、または遺言による指定相続分に、その者の寄与に相当する価額を加えた財産の取得を認めています。この、本来の相続分を超えて加算される部分を寄与分といい、特別の寄与のあった相続人を寄与者といいます。
 寄与分者は相続人でなければならないので、長男の嫁が義理の父の介護を全て行っていたとしても長男の嫁には寄与分は認められません。このような場合には、嫁の介護を考慮して、遺産分割協議で長男に多く相続させるという方法も考えられます

 寄与分となるのは以下の事由に該当する場合です(民法第904条の2参照)。
1.被相続人の事業に関する労務の提供や、財産上の給付をした場合
2.被相続人の療養や看護をした場合
3・その他の方法により被相続人の財産の維持、増加について特別の寄与をした場合

寄与分の算定
 寄与分をどのくらいするかは相続人の協議によって決めます。
まず、被相続人の遺産の中から寄与分を控除して、残りの遺産を元に相続人の相続分を決めます。
寄与者は、相続分に寄与分を加えたものが相続分となります。 相続人の協議で寄与分を決められないときは、家庭裁判所に申し立てをして決めることになります。
家庭裁判所は、寄与の時期や方法、程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を決めます。

寄与分がある場合の相続分の計算
以下、簡単な事例で寄与者がいる場合の具体的な相続分の計算方法を説明します。 寄与分具体例
 上記のように、被相続人である夫が相続財産3,000万円を残して死亡した場合で、長男が父(被相続人)の事業の拡大に特別の寄与をし、相続人間でその寄与分は600万円であると決めた場合、各相続人の相続分はどのようになるでしょうか?

1.遺産総額から寄与分を控除
 3000万円−600万円=2400万円
2.寄与分を控除した相続財産を相続人で分割
・妻(配偶者)の相続分 2,400万円×1/2=1,200万円
・子どもの相続分    2,400万円×1/2×1/3=400万円
3.長男の相続分に寄与分額を加える
 400万円+600万円=1,000万円
4.各相続人の最終的な相続分
・妻の相続分  1,200万円
・長男の相続分 1,000万円
・次男の相続分   400万円
・長女の相続分   400万円

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遺留分



 被相続人の相続財産のうち、最低限相続できる割合を一定の法定相続人に保障しているんものが遺留分制度です。
 本来、被相続人は、自らの財産を生前贈与や遺言等により自由に処分できるのが原則です。例えば、遺言者は「自分の死後、財産についてはその全てを○○市に寄付(遺贈)する。」などといった内容の遺言を残すこともできます。しかし、この遺言内容が全て有効だとすると、残された遺族の生活が不安定なものになりかねません。
 そこで、被相続人の財産処分の自由及び取引の安全と、相続人の生活の安定及び財産の公平な分担との調和を図るために遺留分制度が定められたのです。この遺留分制度によって、処分の自由が一定限度で制限されていることになります。つまり、相続人の法定相続分の一部は、遺言でも奪うことのできない権利になっているのです。
 ただし、遺留分に違反する贈与や遺贈も当然には無効とされず、遺留分減殺請があって初めてその効力が否定されることになります。

遺留分権利者
 遺留分権利者は、法定相続人のうち、配偶者、子(代襲相続人)、直系尊属で、兄弟姉妹には遺留分がないことに注意が必要です。
 なお、相続欠格・廃除・相続放棄によって相続権を失ったときは、遺留分の権利も失うことになります。

遺留分割合
 遺留分割合は以下のようになっています(民法第1028条参照)。
 1.直系尊属のみが相続人である場合 :被相続人の財産の1/3
 2.その他の場合:          被相続人の財産の1/2
そして、相続人の遺留分は、法定相続分×遺留分割合で計算されます。
<遺留分の例>
1)父母のみが相続人の場合(上記?の場合)
  父:法定相続分(1×1/2)×遺留分割合(1/3)=1/6 
  母:法定相続分(1×1/2)×遺留分割合(1/3)=1/6
2)配偶者と子(2人)が相続人の場合(上記?の場合)
  配偶者:法定相続分(1/2)×遺留分割合(1/2)=1/4
  長男:法定相続分(1/2×1/2)×遺留分割合(1/2)=1/8
  次男:法定相続分(1/2×1/2)×遺留分割合(1/2)=1/8
3)配偶者と父母が相続人の場合(上記?の場合)
  配偶者:法定相続分(2/3)×遺留分割合(1/2)=1/3
  父:法定相続分(1/3×1/2)×遺留分割合(1/2)=1/12
  母:法定相続分(1/3×1/2)×遺留分割合(1/2)=1/12
4)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合(上記?の場合)
  配偶者:遺留分1/2
  兄弟姉妹:遺留分なし

 例えば、上記2)の場合で被相続人が相続財産の全額3000万円を長男へ遺贈したとします。

遺留分具体例

この場合に、上記2)の計算により各相続人の遺留分を算出すると、
 ・妻(配偶者)の遺留分:相続財産3000万円×遺留分1/4=750万円
 ・次男の遺留分:    相続財産3000万円×遺留分1/8=375万円
となり、この額が今回のケースで各相続人に最低限保障された相続額ということになります。そして、夫(被相続人)の長男への遺贈は、妻と次男の遺留分を侵害していることになるので、妻と次男は自己の遺留分侵害額の限度で(妻:750万円、次男:375万円)、受贈者である長男に対して遺留分減殺請求をすることができます。

遺留分減殺請求
 贈与や遺贈によって遺留分が侵害されていても、その遺言が当然に無効となるわけではありません。侵害された遺留分を取り戻したい場合は、遺留分を取り戻す請求をする必要があります。これを遺留分減殺請求といいます。もっとも遺留分減殺請求をした場合でも、遺留分を侵害している部分の贈与や遺贈が無効となるだけで、他の部分は無効にはなりません。この遺留分減殺請求は、相続の開始及び遺留分を侵害された事実(遺留分侵害の贈与や遺贈)を知った日から1年以内に、贈与や遺贈を受けた相手方に対してしなければなりません。ただし、相続開始から10年を経過してしまうと、遺留分侵害があった事を知らないままであっても、減殺請求はできなくなります。
 遺留分減殺請求は、「減殺する」という意思表示を相手方にするだけで成立しますが、その証拠を残すためにも、配達証明付きの内容証明郵便でするのが一般的です。

遺留分の放棄
 遺留分については相続開始前の放棄が認められています(相続権の放棄は相続開始前にはできません。)。しかし、被相続人(遺言者)の強要などによって、遺留分の放棄をさせられることも考えられますので、相続開始前に遺留分を放棄するには家庭裁判所の許可が必要となっています。相続開始後に遺留分の放棄をすることは、家庭裁判所の許可は必要ありません。なお、遺留分を放棄したとしても、相続人の権利まで失うわけではありませんので、もしも被相続人のマイナスの財産が多い場合で債務を負いたくない場合には、別途相続放棄しないと、負債を相続人の数で頭割した額について債権者からの請求を拒めません。

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特別縁故者に対する財産分与



財産分与とは
 相続人の不存在が確定した場合、家庭裁判所が相当と認めるときに、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者(特別縁故者)からの請求によって、残存している相続財産の全部または一部が与えられます。
 相続財産は、相続人が不存在の場合、最終的には国庫に帰属することになりますが、内縁の妻や事実上の養子のように法律上は相続人ではないが、実際上被相続人と深い縁故を持っていた者に相続財産を分与した方が、国庫に帰属させるより好ましいことから認められた特別縁故者に対する財産分与制度です(民法第958条の3参照)。

特別縁故者とは
 特別縁故者となるのは以下の事由に該当する者です(民法第958条の3参照)。
1.被相続人と生計を同じくしていた者
2.被相続人の療養看護に努めた者
3・その他被相続人と特別の縁故があった者

 ここで、注意しなければいけないのが、特別縁故者に対する相続財産の分与は、相続人が1人もいないことが確定した場合のみであるということです。すなわち、戸籍上の妻とは別居し(法律上は離婚が成立していない場合)、内縁の妻と20年にわたり夫婦同然の生活を続けていた夫が死亡した場合であっても、戸籍上の妻は夫の相続人となるため、内縁の妻は、特別縁故者として相続財産に対する財産分与請求はできません。なお、内縁の妻の保護は、夫が内縁の妻に対して遺言によって財産を残すことによって図ることができます。

特別縁故者に対する財産分与の請求方法
 上記の1〜3の特別縁故者に当たる者は、相続人を相続するための公告で定められた期間の満了後3か月以内に、家庭裁判所に対して財産分与請求をしなければなりません。期間経過後の申立ては認められていませんので注意が必要です。

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